不動産売却の譲渡所得について!計算方法や取得費用も解説

不動産売却の譲渡所得について!計算方法や取得費用も解説

不動産を売却する際に譲渡所得の正確な計算は欠かせません。
譲渡所得を適切に計算すれば、税金の負担を抑えることができます。
取得費や譲渡費用の内容を理解し、正しく申告すればトラブルを回避できるでしょう。
この記事では、譲渡所得の計算方法と関連する費用について解説します。

譲渡所得の計算方法について

譲渡所得の計算方法について

不動産を売却した際に発生する譲渡所得は、正確な計算によって税負担を把握し、必要な対策を講じることができます。
ここでは、取得費や譲渡費用、減価償却の観点から計算方法を解説します。
たとえば、譲渡所得を算出するうえで活用できる特例や、過去に住宅ローン控除を利用した場合の影響も踏まえておくと、実際の納税額をより正確に予測できます。
事前に税理士や不動産会社と連携しておくと、書類の不備や見落としを避ける一助になるでしょう。
また、譲渡後の税務調査に備えて証拠書類を体系的に保管する意識も重要です。

取得費とは何か

取得費とは、不動産の購入時に要した費用を指します。
具体的には、土地や建物の購入代金、建築費、仲介手数料、登録免許税、不動産取得税、印紙税などが含まれます。
これらは譲渡所得の計算時に差し引くことができます。
取得費が不明な場合や購入時の契約書を紛失している場合は、譲渡収入金額の5%を概算取得費として認められます。
ただし、実際の取得費が5%を上回るなら、実額を用いるほうが有利です。
契約書や領収書などの書類は、実額を証明するために非常に重要です。
万が一紛失している場合でも、工事業者や仲介業者からの再発行を依頼して取得費を正しく把握する工夫が求められます。
書類の整合性が確保できれば、後々の税務手続きでトラブルを回避しやすくなります。

譲渡費用の具体例

譲渡費用とは、不動産売却に直接かかった費用を指します。
仲介手数料や印紙税、測量費、売却のための解体費用、立退料などが含まれ、取得費と同様に収入金額から差し引けます。
売却に際して余計な出費を計上しないよう、譲渡費用に該当するかどうかを慎重に見極めることが大切です。
たとえば、仲介手数料のうち紹介サービス料など売却に直接関係しない部分は譲渡費用として認められない場合があります。
その点を見誤ると税額に影響する恐れがあります。

減価償却を考慮した計算方法

建物は使用によって価値が減少するため、取得費から減価償却費を差し引く必要があります。
減価償却費相当額は、建物の取得価額に0.9を乗じた金額に償却率と経過年数を掛けて求めます。
例えば、取得価額が2,000万円で償却率が0.015、経過年数が10年の場合は
2,000万円×0.9×0.015×10=270万円となり、取得費は2,000万円−270万円=1,730万円です。
耐用年数や償却率は用途や取得時期によって異なるため、正確な計算には専門家への相談をおすすめします。
減価償却をおこなう際には、改築や増改築により建物の価値が変動した場合の取り扱いにも注意が必要です。
建築確認時期や建材の耐久性などが評価額に影響することもあるため、専門家と協議して正確な金額を反映させましょう。
譲渡所得は次の式で表されます。
譲渡所得=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)
適切な書類を保存し、正確に算出することが大切です。

取得費に含まれるものについて

取得費に含まれるものについて

不動産を売却する際、取得費の内容を正確に理解することが重要です。
取得費には、物件の購入時に支払った費用や資本的支出が含まれます。
ここでは、仲介手数料、リフォーム費用、ローン保証料の取扱いについて解説します。
購入時に要する費用は物件の特性や立地によっても差が大きいため、一律に判断せず、個別の契約内容を精査することが求められます。
とくに新築か中古かで税額や手続きが変わる場合があるため、各種減税措置の対象となるかもあわせて確認するとよいでしょう。

仲介手数料の計上方法

不動産の購入時に支払った仲介手数料は取得費に含まれます。
たとえば、3,000万円の物件を購入し、100万円の仲介手数料を支払った場合、取得費は3,100万円です。
仲介手数料の領収書や契約書は、後の申告に必要なので大切に保管してください。
なお、賃貸契約で支払う仲介手数料は取得費ではなく必要経費となる点に注意しましょう。
仲介手数料は物件の販売価格だけでなく契約条件によっても変動するため、手数料を含めた総支払い額がどの程度になるか事前にシミュレーションすることも欠かせません。

リフォーム費用が含まれる条件

リフォーム費用が取得費に含まれるかどうかは、その工事内容によります。
建物の価値を高める資本的支出(耐震補強や増築など)は取得費に含まれますが、壁紙や設備の修理など原状回復のための修繕費は必要経費として扱われます。
計上する際は、リフォーム内容が資本的支出に当たるかを確認してください。
大規模なリノベーションをおこなった場合には、工事前後で評価額がどの程度変わるかを客観的に示す資料を用意しておくと、資本的支出として認められやすくなります。

ローン保証料の取扱い

住宅ローンを利用する場合、引き渡し前に支払ったローン保証料は取得費に含めることができます。
ローン契約書や保証会社の通知書などを保管し、取得費の計算時に正確に反映させてください。
また、ローン事務手数料や団体信用生命保険料など、取得費に含められる費用も確認しておきましょう。
ローン保証料の金額は金融機関や契約条件によって異なるため、事前に見積りを取り寄せて実際の負担額を明確にしておくと、取得費の計算時に混乱を避けられます。

譲渡費用に含まれるものについて

譲渡費用に含まれるものについて

不動産を売却する際、譲渡費用を正しく把握することも重要です。
譲渡費用とは、資産の譲渡に直接関連して支出された費用を指し、これを適切に計上することで課税対象額を正確に算出できます。
ここでは、測量費、解体費用、広告費の取扱いについて解説します。
売買契約に付随する特別な条件や準備費用などがある場合は、それらが譲渡費用に含まれるかを確認しておくことが大切です。
事前に費用のリストを作成しておけば、計算時の漏れを防ぐのに役立ちます。

測量費の必要性と計上方法

売却にあたり境界を明確にするために測量をおこなった場合、その測量費用は譲渡費用として計上できます。
ただし、将来的な売却を見据えて早めに測量したなど、売却に直接関係しない場合は認められないことがあります。
測量の結果、隣地との境界線が想定と異なる場合には、追加の手続きが発生する可能性があります。
こうした状況下で協議や書類作成にかかる費用が発生した場合、その費用も譲渡に直接関連すると判断されれば計上が認められるケースもあります。

解体費用を計上する際の注意点

土地を売却するために上物を取り壊した場合、その解体費用は譲渡費用として計上できます。
ただし、売買契約書に解体が売却条件と明記されているなど、売却との直接的な関連が必要です。
老朽化など別の理由のみでおこなった解体費用は認められない可能性があります。
解体後に撤去物の処分費が発生する場合にも、売却条件と直接結びついていれば譲渡費用として扱われることがあります。
解体契約を結ぶ際は、売却の条件を明示しておくとよいでしょう。

広告料として認められる費用

買主を探すための広告費用は譲渡費用として認められます。
新聞広告やインターネット掲載などに支払った費用が該当し、領収書などの証拠書類を保管しておくことが重要です。
ただし、売却と直接関係のない広告に要した費用や、過度に高額なものは認められない場合があります。
掲載期間は費用に影響するので、選択が重要です。

まとめ

不動産売却時の譲渡所得を正しく計算するには、取得費や譲渡費用を正確に把握することが欠かせません。
仲介手数料やリフォーム費用、ローン保証料などは取得費に計上できる場合があり、売却に直接関わる測量費や解体費用、広告費は譲渡費用として差し引くことができます。
本記事を参考に、必要書類の保存や費用の区分を徹底し、正しい申告をおこないましょう。