リフォーム費用の減価償却とは?減価償却が必要なケースや計算方法を解説

リフォーム費用の減価償却とは?減価償却が必要なケースや計算方法を解説

建物が古くなると、間取りや設備も劣化し、使い勝手が悪くなることがあります。
リフォームをする場合、かかる費用は減価償却の対象になるのか気になりますよね。
本記事では、減価償却とはなにか、減価償却が必要なリフォームのケースや減価償却の計算方法について解説します。
練馬区で中古住宅を購入後リフォームをご検討の方は、ぜひ参考になさってください。

リフォームの前に押さえておきたい!減価償却とは?

リフォームの前に押さえておきたい!減価償却とは?

減価償却とは、資産が時間とともに価値が下がることを想定し、その使用期間に応じて費用を分配して計上する会計手法です。
たとえば、建物や車など高価な資産は、購入時に大きな費用がかかりますよね。
購入費用を購入年度のみで計上すると、その年の財務に大きな影響を与えてしまうため、資産の耐用年数に応じて、数年間にわたり費用を分配して計上します。
減価償却により、実際の使用状況と財務状況が一致するようになります。
重要な点として、土地は建物と異なり時間が経っても価値が低下しないため、減価償却の必要はありません。

減価償却のポイント

減価償却をおこなう際には、「法定耐用年数」がキーポイントです。
法定耐用年数とは、資産ごとに定められた減価償却をおこなう期間のことで、不動産の場合、建物の材質や構造、用途によって異なります。
たとえば、事業用建物の場合、木造は24年、鉄筋コンクリート造は50年と、建物の構造によって耐用年数が大きく変わります。
さらに、同じ木造建物でも、用途によって耐用年数が異なり、店舗や住宅用は22年、事務所用は24年、飲食店用は20年です。
法定耐用年数は国税庁のホームページで確認できるため、リフォームや建物購入前にはぜひチェックしておくことをおすすめします。

法定耐用年数は延びない

なお、リフォームをおこなっても、建物の「法定耐用年数」は延びません。
一部の方々は、リフォームによって建物が新築のように改善されれば耐用年数も延びると考えがちですが、法的には耐用年数は変更されないのです。
したがって、中古物件を購入する際には、内装の美しさだけでなく、その建物がどれだけの年数使用できるか、つまり「残存年数」もしっかりと確認することが大切です。

減価償却が必要となるリフォームとは?

減価償却が必要となるリフォームとは?

リフォームにともなう費用の会計処理では、「資本的支出」と「修繕費」に分類される点が重要です。
資本的支出と判断された場合にのみ、減価償却費として計上することが可能です。
資本的支出と修繕費を見分ける方法について解説します。

修繕費として扱われるリフォーム

修繕費は、資産を維持し、元の状態に保つためにかかる費用です。
日常的な修繕や定期的な維持管理の費用は、減価償却の対象とならず、その年度の経費として直接処理されます。
以下に修繕費の具体例を挙げます。

●原状回復を目的とした修繕
●災害による被害箇所の修復
●工事費用が20万円未満の場合


工事の費用が20万円を超えても、3年以内に定期的におこなっている場合は、修繕費に該当します。
また、壁紙の貼り替えや床材の更新、エレベーターなどの建築設備の保守や修繕、プロの清掃サービスの利用費も修繕費に含まれるため、ご注意ください。
災害後の原状回復工事で改良がともなう部分の費用は、改良工事として修繕費から除外される必要があります。
さらに、床上げや地上げ、移設など、明らかに改良を目的とした工事も改良部分を除外して修繕費として計上しましょう。

基本的支出として扱われるリフォーム

資本的支出とは、資産の価値や機能を向上させるためにおこなう改良や増設などに要した費用のことを指します。
基本的支出は、資産の本質的な価値を高めるため、減価償却費として計上することが可能です。
資本的支出に該当するリフォームの具体例を以下に示します。

●資産の市場価値を向上させる工事
●工事費用が20万円を超える場合
●災害への対策として施設を強化または追加設置した場合
●販売促進を目的とした改装や増築、新設備の追加


上記の工事は資産の耐久性を高めるか、機能を向上させるためにおこなわれるため、資本的支出と見なされます。
資本的支出は、資産の価値を根本的に改善することによってその価値を「ゼロからプラス」に変えるものと考えると理解しやすいでしょう。
ただし、建物の単純な増築や拡張は「建物の取得」と見なされることもあります。
修繕費と資本的支出の区分けは場合によって異なるため、判断が難しい場合は税理士などの専門家に相談することが賢明です。

リフォーム費用を減価償却する際の計算方法とは?

リフォーム費用を減価償却する際の計算方法とは?

リフォーム費用の減価償却を計算する際には「建物部分」と「建物附属設備部分」の2つのカテゴリーに注意する必要があります。
たとえば、断熱工事や外壁塗装など建物自体に関わる工事は、リフォームされた建物の法定耐用年数を基に計算しましょう。
内装の改装が主体でも、間仕切り壁の撤去など建物の構造に影響を与える場合も建物部分の計算に含まれます。
一方、冷暖房機器の交換やトイレ、照明設備、エアコンの更新などは各設備の法定耐用年数を使用しましょう。
減価償却には「定額法」と「定率法」の2つの計算方法がありますが、今回は「定額法」に焦点を当てます。

定額法の計算方法

定額法の計算式は「リノベーション費用×定額法の償却率」です。
償却率は、国税庁のホームページで法定耐用年数を基に確認できます。
たとえば、木造住宅に100万円をかけてリフォームした場合、木造の法定耐用年数が22年のため、償却率は0.046になります。
上記の償却率を使って計算すると、年間の減価償却費は「100万円×0.046 = 4万6,000円」です。
建物附属設備に関する工事も、同様の方法で減価償却費を算出します。

中古物件の購入と同時にリフォームをおこなう場合

中古物件を購入してリフォームする場合、再取得額に注目することが重要です。
再取得額とは、もし現在その建物を新しく建てる場合に必要な費用のことを指します。
再取得額は物件の購入価格とは異なるため、計算する際には混同しないよう注意が必要です。
リフォームの工事費が中古物件の再取得額の50%未満の場合「簡便法」と呼ばれる計算方法を適用できます。
簡便法で計算するには、まず、耐用年数を計算するために「(建物の法定耐用年数 -経過年数)+経過年数の20%」を求めます。
たとえば、法定耐用年数が24年の木造の事業用物件を購入し、その物件の築年数が購入時点で10年経過していたとしましょう。
この場合、中古物件の耐用年数を簡便法で計算すると以下のとおりです。
(24年-10年)+(10年×0.2)=16年
次に、算出した耐用年数を使って、減価償却費を以下の式で計算します。
減価償却費 =(中古物件の購入費用+リノベーション費用)÷(中古物件の購入費用÷簡便法で算出した耐用年数+リノベーション費用÷中古物件の法定耐用年数)
上記で計算すると、法定耐用年数よりも短い期間で減価償却を完了させることが可能になります。
事業用の中古物件をリフォームを前提に探す際は、再取得額が工事費用の50%を超えないようにすると効率的です。

まとめ

法人や貸主がリフォームをおこなう場合は、減価償却の対象となるリフォームを知っておくことが大切です。
減価償却が必要なリフォームは、基本的支出とみなされた工事となり、資産の市場価値を向上させる工事や工事費用が20万円を超える場合が挙げられます。
計算方法は、定額法と定率法の2種類があり、中古物件の購入と同時にリフォームする場合は、簡便法を用いて計算します。