不動産売却に影響する心理的瑕疵について!相場や告知義務も含め解説
人が亡くなった物件は売れにくいといわれ、所有者の立場では手放したい気持ちはあります。
わざわざ、その物件を買おうとする方もあらわれにくく、なんらかの対策を施さなければいけないのが実情です。
では、心理的瑕疵とはなにか、その不動産を売却するときの相場や、告知義務を解説していきます。
▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼
売却査定フォームへ進む
不動産の売却時に知っておきたい心理的瑕疵とは
心理的瑕疵とは、住むには問題がないが、購入するうえで心理的抵抗や嫌悪感を抱いてしまう、その原因となるものをいいます。
明確に定義されているわけではないため、不動産の売買時にはトラブルとなりやすく、売主は正しい理解が必要です。
心理的瑕疵物件の代表的なものは、いわゆる事故物件と呼ばれるもので、そこで殺人事件や自殺など平穏でない最期を遂げた事実がある物件です。
そういった物件は、住むには物理的に問題はありませんが、心理的に恐怖や嫌悪がつきまとってしまうため、一般的には避けられてしまいます。
また近年、孤独死が大きな問題となっていて、こちらも人によっては購入を断念する原因となりかねません。
孤独死は死後、発見が遅れるケースも少なくはなく、遺体の損傷が進んでしまう可能性があります。
そういった場合、遺体から漏れ出した体液などにより、室内にはにおいや痕跡が残ってしまいます。
それらの痕跡は、通常の掃除では除去できず、専門の業者に特殊清掃を依頼しなければいけません。
特殊清掃では専用の機材や薬剤などを使い、汚れやにおいを落としますが、それでも原状回復できない場合も少なからずあります。
その場合は、部屋を丸ごとリフォームするしかなく、売主としては費用面で大きな負担となるのは避けられません。
心理的瑕疵には、人の死に関係するものだけでなく、場合によっては周辺環境の問題も当てはまってきます。
物件に問題はなくても、周辺環境に問題がある場合でも、人によっては心理的瑕疵物件となってしまいます。
たとえば、近隣に反社会的組織の事務所があれば、トラブルに巻き込まれるおそれがあるとして、敬遠されるのは当然でしょう。
また、風俗店や遊戯施設、繁華街があれば、それを目的でくる方も多くなり、治安や雰囲気の悪化も想定され、それを嫌う方も少なくありません。
他にも墓地やセレモニーホール、工場なども避けられる傾向があり、日照や眺望の阻害も問題となるケースがあります。
これらの瑕疵にあたる物件では告知義務が課せられていて、もし告知せずに売却した場合は損害賠償を請求される可能性があります。
周辺環境の問題は、人それぞれに受け取り方が違うため、どの範囲までを心理的瑕疵ととらえるかは定義が明確になっていない分、難しいものです。
ただ人の死に関しては、2021年に国土交通省により、人の死の告知に関するガイドラインが公表され、これに則った対応が必要です。
ガイドラインでは殺人や自殺、不審死などがあった物件や特殊清掃がおこなわれた物件は告知義務が発生し、売買のケースでは経過期間に定めがありません。
ただ、自然死や不慮の死には告知義務はなく、たとえ孤独死であっても発見がはやい場合は、自然死とみなされるケースがほとんどです。
▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼
売却査定フォームへ進む
心理的瑕疵がある不動産の売却価格の相場は
瑕疵物件は、一般的な物件の売却価格よりも安い価格で取り引きされると思われていますが、すべての物件がそうとは限りません。
立地が良い需要の高いエリアにある物件は、価格が下がりにくく通常どおりか、それに近い価格で取り引きされる例もあります。
ただ、需要があまり高くないエリアにある心理的瑕疵物件の場合、市場の相場どおりの価格では購入者はあらわれにくいのが現状です。
瑕疵のある物件の売却価格は個別に判断され、そのもととなる要素は瑕疵の内容・物件の立地と状態の3つです。
3つの要素のなかで、大きなウエイトを占めるのはやはり瑕疵の内容で、度合いによって相場よりどのくらい安い価格になるのか変わってきます。
先の国土交通省が公表したガイドラインでは、心理的瑕疵にあたる死因は、大きく5つに分類されます。
心理的瑕疵にあたる5つの死因とはまず殺人、そして自殺や火事などによる焼死、また原因のわからない不自然な死や、発見が遅れ特殊清掃をおこなった孤独死や自然死です。
人がそこで亡くなった事実があるだけでも、購入者の購買意欲に大きな影響を与えますが、このような死因や事件の内容によって、さらに売却価格が下がる可能性があります。
では、具体的にどのくらい安くなるのかみていきますが、まず自然死や孤独死があった場合、値下げ幅は10%から20%と、ガイドラインの死因のなかでは下げ率が少ないケースです。
次に、自殺の場合は20%から30%、殺人など事件があった物件は30%から50%の値下げ率となってしまいます。
また、風評被害も価格に影響を与えるケースがあり、近所の噂はもちろん、ニュースで取り上げられた物件をわざわざ買おうと思う購入者はほとんどいません。
そのため、さらなる値下げをして、購入者を募らなければならず、売れても利益を発生させるのは難しいでしょう。
ただ、人によっては、殺人のあった物件は無理でも、自殺なら気にならないといわれる方もいて、必ずしも上記の下げ幅で売却価格が決まるわけではありません。
▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼
売却査定フォームへ進む
心理的瑕疵のある不動産を売却するときの告知義務
告知義務の有無は、国土交通省のガイドラインが1つの判断材料となりますが、実際にはそれ以外の部分で判断が難しいものも少なくありません。
自殺や事件による殺人はもちろん、原因が不明瞭な不自然な死や変死、焼死はガイドラインにて告知義務が発生するとなっています。
しかし、自然死や孤独死に関しては、発見までの期間が長期にわたったものであれば対象になりますが、短期間で発見されたケースは必要なしととらえられます。
この長期と短期の境目は、明確に基準が設けられているわけでなく、遺体の損傷の度合いに応じて決められるとみたほうがよいでしょう。
孤独死であっても、発見が早ければ通常の死とみなされますが、発見が遅れ腐乱した状態になっているのも珍しくなく、この場合は告知義務が発生します。
ただ、同じ孤独死でもそこで人が亡くなった事実には変わりなく、購入者によっては早期発見の場合でも気にする方もいるため、不動産会社には伝えておくのがよいでしょう。
逆に、告知が必要ないケースは、そこに住んでいたが病院に搬送され亡くなった、マンションの屋上から飛び降り自殺があった、事故に遭い亡くなったなどがあります。
では、告知義務がある場合、いつまでに告知をしなければいけないのか、その期間に関しては2通りの考え方があります。
1つめは、発生からの期間で、そこで自殺があった場合は6年が目安で、その期間内であれば告知をしてください。
2つめは、発生したのちに入居者が変わったり、その物件を購入した方がさらに転売したりするケースで、この場合は告知の必要はないとみなされています。
このように、心理的瑕疵は期間により告知義務の有無が変わってきますが、実際はそれほど単純なものでもなく、個別に判断する必要があります。
その物件でなにがあったのか、不動産会社は売主から告知されない限り、わからないケースがほとんどです。
また、瑕疵の有無に関しても、不動産会社に調査義務はないとされており、のちに心理的瑕疵が発覚してもその責任は不動産会社にはなく、売主の正直な告知が求められます。
▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼
売却査定フォームへ進む
まとめ
心理的瑕疵とは、そこに居住する際、心理的に嫌悪感を与えるその原因となるものをいいます。
とくに、事件があった物件は、売却価格を相場よりも安くして売却しやすくするのが一般的です。
また、売主はその物件の瑕疵を告知する義務を負い、怠った場合は損害賠償請求の対象となるケースがあるため、正直に告知してください。
▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼
売却査定フォームへ進む