不動産売却を住みながらおこなう方法とは?メリットと注意点を解説

柳澤 敬太

筆者 柳澤 敬太

不動産キャリア6年

当社は、創業50年の住宅資材専門商社から生まれました。長年にわたりお客様から支持を得てきた老舗商社だからこそ、「私たちの都合」ではなく「お客様の目線で考える」という視点を大切にしております。特に「不動産屋は何か怖い」と、ハードルを感じられている方は、当社のスタッフとお会いいただき、違いを感じていただきたいと思います。

不動産売却を住みながらおこなう方法とは?メリットと注意点を解説

所有している土地や建物に住んでいる状態で、販売活動はできるの?と気になっている方は多いでしょう。
実際に売りたい土地や建物に住んでいる期間に販売活動は可能ではあるものの、いくつかの弊害があるため、あらかじめ理解したうえで対策が必要です。
本記事では、不動産売却を住みながらおこなう方法をお伝えしたうえで、メリットとデメリット・注意点を解説します。

不動産売却を住みながらおこなう方法

不動産売却を住みながらおこなう方法

「土地や建物を売りたいけど、住みながらでも販売活動はできるの?」と気になっている方は多いでしょう。
内装の写真を撮ったり内覧で購入希望者を呼んだりするためには、空き家にしなければならないと思われがちですが、実際には住みながらでも販売活動はできます。
不動産売却を住みながらおこなう方法は、仲介物件としての売却・リースバック制度の利用・リバースモーゲージ制度の利用の3点です。
まず、マイホームを売却して新居を購入する住み替えを検討している方の多くが利用する方法が仲介物件としての売却です。
近くの不動産会社に査定をしてもらい、納得いけば媒介契約・販売活動・売買契約の締結・引き渡しの流れでマイホームに住みながら売却ができます。
譲渡益を新居の購入費用・引っ越し費用・新生活の諸費用などに充てられるなどのメリットがあるものの、住宅ローンを完済していないのであれば注意が必要です。
住宅ローンを完済していない状態では、物件の抵当権が金融機関にあるため、購入希望者が見つかりにくくなります。
債務者の返済が滞ると金融機関の判断で競売にかけられる可能性がある物件に対して、リスクを負ってまで購入したいと思う方はほとんどいないからです。
さらに、二重ローンの審査は厳しく、一般的なサラリーマンで住宅ローンを完済していない状態で新たな借り入れはほぼ不可能です。
こういった背景から、仲介物件として売却を検討しているのであれば、住宅ローン完済は必須条件となります。
どうしても住宅ローンの完済が現実的でないのであれば、ほかの選択肢としてリースバックやリバースモーゲージをご検討ください。
続いて、早急に資金調達をしなければならない状態になったのであれば、不動産会社にマイホームを売却してから賃貸借契約を締結して住み続けるリースバック制度を利用する方法がおすすめです。
リースバックを利用して譲渡益が生まれればまとまった資金が調達できるため、マイホームから引っ越しをせずに住み慣れた場所で生活しながら、生活資金を工面できます。
ただし、リースバックを利用するのであれば今まで発生していなかった家賃の支払い義務と賃貸借契約の期間が過ぎると強制退去になる可能性もあるため注意が必要です。
最後に、マイホームを担保にして借り入れをして居住者が死亡したら物件の売却費用で借り入れ金額を一括返済できるリバースモーゲージも注目されています。
対象者は55~65歳の中高年層になりますが、借り入れした資金は、老後の資金・生活費・老人ホーム等の入居費用などに充てられるでしょう。

不動産売却を住みながらおこなうメリットとデメリット

不動産売却を住みながらおこなうメリットとデメリット

不動産売却を住みながらおこなうメリットは、住み替え費用負担の軽減・内覧時のコミュニケーション・劣化防止の3点です。
まず、空き家にするより住みながらマイホームを売った方が住み替え費用の負担を軽減できます。
空き家にする場合、退去費用・新居の引っ越し費用・仮住まい費用などが発生しますが、売買取引が成立してからマイホームを退去すれば空き家にするための諸費用がかからなくなるからです。
一般的に売買取引ではマイホームを売ってから新居を購入する売り先行と、新居を購入してからマイホームを売る売り先行の2種類があります。
買い先行を選択した場合、二重ローンになるリスクも伴ったり、仮住まいを選べば最大2回の引っ越し費用が発生したりするためトラブルが起こりやすいです。
資金計画に余裕がないのであれば、まずはマイホームの売買取引を終えてから新居の購入に進む方が良いでしょう。
最後に、内覧希望者と直接コミュニケーションを取れる機会になるため、実生活の雰囲気や住んでいたときの話ができれば売買取引がうまく成立する可能性があります。
家具や設備が一切ない空き家よりも実際に生活している雰囲気を見た方が、新生活のイメージがしやすいと感じる購入希望者も多いです。
さらに、売買取引が成立するまでの期間が長くなったとしても、家の劣化を防げます。
一般的に「物件は誰も住まなくなると劣化が進行しやすい」といわれており、掃除・換気・通水・庭の手入れなど日常的におこなわれるさりげない変化が物件を維持するのに役立ちます。
すでに劣化が進んでいる部分に関しては工事や修繕が必要ですが、現状維持を目指すのであれば、住み続ける方が安心です。
不動産売却を住みながらおこなうデメリットは、内覧予定の調整・生活感によるイメージ低下の可能性の2点です。
まず、空き家であれば内覧を担当者に任せられますが、マイホームに内覧希望者が来るとなればスケジュールを開けておく必要があります。
日当たりを確認するためにも休日の日中に内覧を希望する方が多いため、販売活動期間中は休日が忙しくなる可能性を理解しておきましょう。
続いて、家具や設備が設置された状態での販売活動は生活をイメージしやすいメリットがある一方で、悪い部分で生活感が露わになっていると購買意欲の低下につながりかねません。
小さな子どもが多くて物が散らかったり汚れが目立ったりする状態であれば、内覧のたびに掃除や整理整頓をする必要があり負担になる可能性もあります。

不動産売却を住みながらおこなう際の注意点

不動産売却を住みながらおこなう際の注意点

不動産売却を住みながらおこなう際の注意点は、内覧できる環境づくり・新居探しのリサーチの2点です。
まず、住みながら販売活動をするのであれば、内覧時には他人を自宅に招き入れなければなりません。
内覧希望者のなかには明日・明後日など急な日程相談をするケースもあるため、いつ連絡が来ても受け入れられるように準備をしておく必要があります。
売主は内覧を断る権利もありますが、「部屋の状態が悪い」との理由で内覧を断り続けているとほかの類似物件と売買契約を締結されてしまう可能性があります。
販売活動期間中は家族とも協力し合いながら、できるだけ清潔感を保ったり物を増やさないように工夫したりして、いつでも内覧希望者を受け付けられる環境づくりがポイントです。
近くに親族が住んでいるのであれば、販売期間中や休日のみは子どもを預かってもらうなどすると、内覧に対する難易度も低くなるでしょう。
続いて、住み替えを検討しているのであれば販売活動と同時に新居探しもスタートさせるべきです。
なぜなら内覧までうまくいって購入希望申し込みがあれば、売買契約の締結後に引き渡しとなるため、マイホームの退去が求められるからです。
売却はうまくいっても購入したい新居が見つかっていなければ、一時的に仮住まいの物件に移動しなければならない可能性も考えられます。
物件の数は多くあるとはいえ、条件を満たした理想的な新居がすぐに見つかるとは限らないため、やるべき事項は多くなりますが同時進行で進めるのが賢明です。

まとめ

マイホームに住みながら売却活動をすると、建物の劣化スピードを遅くしたり内覧時に購入希望者と直接コミュニケーションを取ったりできるためメリットが多くあります。
一方で、生活感が悪いイメージを抱かせたり、売れ残りにつながったりデメリットもあるため注意が必要です。
とはいえ、住み替えを検討している方の多くはマイホームに住みながら売却活動をおこなっているため、新居探しと同時進行で計画的に進めていきましょう。